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マウスピース矯正はどんな流れで進むの?期間や費用も解説

この記事の監修者

三上 智彦

医療法人社団佑健会

作成日のアイコン

2021/12/20

最終更新日のアイコン

2024/7/18

#マウスピース矯正

コラムのサムネイル

「マウスピース矯正ってどんな流れで進むんだろう」

「矯正にはどのような工程があるのかな」

マウスピース矯正に興味はあるけど、実際どのように進んでいくのかわからず、矯正を躊躇している方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、マウスピース矯正の流れを、カウンセリングから順を追って解説していきます。

この記事を読めば、マウスピース矯正の進み方を把握できます。

マウスピース矯正を検討している方は必見です。

マウスピース矯正の全体的な流れ

マウスピース矯正の流れは大きく3つに分けられます。

「矯正開始前」「矯正中」「矯正後」です。

マウスピース矯正の流れ~矯正開始前~

まずは、矯正開始前の流れについて解説していきます。

カウンセリング

マウスピース矯正をする際、最初におこなうのが「カウンセリング」です。

多くのカウンセリングは、患者さんが、歯科医師に対して矯正の希望を伝えることから始まります。

「現在の歯並びをどのように改善したいか」「希望する矯正方法はあるか」といった質問に、患者さんが答えていくという形式です。

抜歯や歯を削ることに対する抵抗や過去の治療歴についても、この時点で歯科医師に伝えることになります。

過去の治療でインプラントを入れている場合、本数や入れている箇所によっては、マウスピース矯正では治療できない可能性があります。

精密検査

カウンセリングの次は、精密検査。

精密検査では、レントゲンや必要に応じてCT撮影を通して、歯の形状や並び方などの口腔内の情報を集めていきます。

矯正歯科には、頭部X線規格写真(セファログラム)という特別なレントゲンが用いられます。

セファログラムは、顔と頭部の骨格全体を把握するために、顔の横から撮影されるレントゲン規格のこと。

撮影された写真から分析した骨格や組織の情報は、矯正計画の設計に利用されます。

型取り

印象採得(型取り)も、このタイミングでおこなわれる場合が多いです。

近年では、従来型のシリコン製印象材だけでなく、光学スキャナーが用いられることも。

代表は、マウスピース矯正シェアNo.1ブランドである、インビザライン専用の3D光学スキャナー「iTero(アイテロ)」。
iTeroは、従来の印象材のように口にシリコンを入れて待つ必要もないため、患者さんへの負担軽減を実現しています。

口腔内のスキャンは最短10分で完了するため、時間短縮のメリットもあります。

歯周検査

また、矯正に影響を及ぼしそうな箇所のチェックもおこなわれます。

たとえば、虫歯や歯周病を放置してしまうと、歯が欠けるといったダメージが発生し、結果として矯正を中断しなくてはいけなくなります。

歯の形状が変わってしまうと、マウスピースを作り直さなくてはいけない可能性も。

そのため、矯正前には歯周検査が必要なのです。

シミュレーション

シミュレーションは、マウスピース矯正の特徴の1つです。

現在の歯並びから理想の歯並びへと矯正していく治療計画を、ソフトウェアでシミュレーションし、患者さんに確認してもらいます。

代表的なシミュレーションシステムはインビザラインの「クリンチェック」。

iTeroで採取した歯型のデータと患者さんが目指す歯並びの情報を、インビザライン本社へと送ると、治療計画の大枠がシミュレーション動画として歯科医院に返ってきます。

クリンチェックでは、シミュレーションをさまざまな角度から確認しながら、治療計画を調整することが可能。

その際、患者さんの要望を取り入れることもできます。

従来のワイヤー矯正では、治療計画は歯科医師の頭の中にしかありませんでした。

マウスピース矯正では、矯正前のシミュレーションによって、治療計画が可視化されるようになったのです。

契約

シミュレーションの確認を終えると、正式に治療計画が作成されます。

歯科医院が、月額・年額制や都度払い制を採用していない限りは、この時点で治療にかかる費用が確定します。

治療計画や費用に問題がなければ、支払い方法や免責事項などへの同意書を書いて、契約。

逆に納得がいかなければ、その時点では契約をせず、他院でセカンドオピニオンを得ることも可能です。

費用の支払い制度については、「マウスピース矯正の費用はどれくらい?相場や内訳を解説」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

マウスピース発注

契約のあとは、ついにマウスピースの発注です。

歯科医師が手作業で作製するタイプのマウスピース矯正もありますが、現在の主流は工場への発注。

インビザラインであれば、設計した治療計画の情報を、販売元である米国アライン・テクノロジー社に送ります。

3週間~1か月ほどで、米国の工場から歯科医院へ届けられ、患者さんに手渡されます。

矯正前治療

実際にマウスピースを装着して歯を動かしていく前に、必要な治療をおこないます。

たとえば、進行中の虫歯や歯周病は放置すると、矯正に悪影響を与えるため、歯を動かし始める前に治療します。

その他は、抜歯やディスキング(IPR)。

歯を動かすスペースを作るために、抜歯をしたり、歯を削ったりする処置は、矯正前におこなわれる場合が多いです。

マウスピース矯正の流れ~矯正中~

マウスピースが手元に届いたら、いよいよ歯を動かしていく段階に入ります。

装着開始・装着レッスン

多くの歯科医院では、マウスピース装着を始める前に、30分程度の装着レッスンを提供しています。

初めての方にとっては、意外と難しいのがマウスピース装着。

誤った装着や強引な装着で、歯肉やマウスピースを傷つけてしまわないように、指導を受けます。

また、保管や洗浄など、マウスピースを取り扱ううえでの注意事項も説明されます。

矯正を開始したら、毎日20時間以上マウスピースを装着するように意識しましょう。

定期通院

マウスピース矯正を成功させるうえで欠かせないのが、定期通院。

通常マウスピース矯正では、1か月に1回程度の定期通院が必要です。

歯科医師は定期的に経過観察をすることで、矯正が計画どおりに進んでいるかを確認します。

マウスピース矯正では、矯正前にソフトウェアを用いて、歯の動きをシミュレーションします。

しかし、歯は必ずしも予定どおりに動くわけではありません。

定期通院を欠かさなければ、歯が計画どおりに動いていなくても、歯科医師が計画の修正や、アタッチメントといった補助矯正器具の利用を判断できます。

逆に定期通院をサボってしまうと、歯が想定外の動きをしても、患者さんは自分で気付けないため、歯列の動きは計画からズレていきます。

歯列の動きが大きく計画からズレてしまうと、再度型取りをして、マウスピースも再作製しなくてはいけないことも。

計画どおりに理想的な歯並びを手に入れるには、定期通院が欠かせないのです。

リファインメント

マウスピース矯正では、「リファインメント」という処置をすることがあります。

リファインメントとは、計画の修正によってマウスピースを追加することです。

当初作製したマウスピースだけでは、理想の歯並びにならないと判断された場合に、追加のマウスピース作製がおこなわれます。

また、歯を動かして見た目の審美性を確保したあと、最後の噛み合わせ調整としてマウスピースを追加することも。

リファインメントは、治療期間の延長につながります。

そのため、患者さんからは否定的に捉えられがちですが、理想の歯並びを手に入れるためには必要なステップです。

歯科医院によっては、あらかじめリファインメントの発生を想定して、治療期間の予想を算出していることもあります。

リファインメントの可能性について気になる場合は、カウンセリングや治療計画確認の際に、歯科医師に直接聞いてみましょう。

マウスピース矯正の流れ~矯正後~

歯を少しずつ動かして、歯並びがきれいになっても、マウスピース矯正は終わりではありません。

「保定」というラストステップが残っています。

保定

マウスピースを交換しながら歯を動かし終えたら、「保定期間」に入ります。

保定期間とは、動かした歯を新しい位置に固定する期間のこと。

動かし終えたばかりの歯は根元の骨が固まっておらず、歯肉の繊維が記憶している元の位置へ戻ろうとします。

そこで、リテーナーと呼ばれる装置を装着することによって、骨と繊維に新しい歯の位置を記憶させるのです。

通常、保定期間は、歯を動かすのにかかったのと同じくらいの期間を要します。

保定期間に入ったばかりの時はマウスピースと同様に、1日20時間以上の装着が必要です。

ただし、半年経てば半日、1年経てば就寝時のみ、というように装着時間は短縮されていきます。

保定期間にも定期通院が必要ですが、期間が進むにつれて通院の頻度は低くなっていきます。

保定期間の始めは1か月に1回、3か月経てば2~3か月に1回、1年経てば半年に1回です。

マウスピース矯正にかかる期間

マウスピース矯正にかかる期間は、矯正範囲によって異なります。

奥歯を含めた全体矯正では、歯を動かすのに1年~2年半、保定に1年~2年かかります。

矯正にかかる期間に幅があるのは、抜歯治療やIPRの影響です。

叢生(でこぼこの歯)や出っ歯などの症状では、抜歯やIPRによって歯を動かすスペースを作ることがあります。

作ったスペースは、歯を動かして埋めていく必要があるため、非抜歯治療と比較して時間がかかる傾向があるのです。

前歯を中心とした(奥歯を矯正しない)「部分矯正」では、歯を動かすのに3か月~1年、保定にも3か月~1年かかります。

個人差はありますが、前歯のすき間を埋めるような治療なら、3か月程度で効果を実感し始めることが可能です。

マウスピース矯正にかかる期間については、ぜひ「マウスピース矯正の期間は長い?期間を延ばさない5つのコツ」もあわせてご覧ください。

マウスピース矯正にかかる費用

マウスピース矯正にかかる費用も、「全体矯正」か「部分矯正」かで大きく異なります。

全体矯正にかかる費用の相場は、70~100万円。

50万円程度から始められるブランドもありますが、適応できる症例が少ない、中等症以上には使えないなどの制限が存在します。

部分矯正にかかる費用の相場は、20~50万円。

部分矯正では、矯正範囲の狭さが費用を抑えることにつながっています。

さらに部分矯正のマウスピースは手作業で製作されることもあります。

その場合、工場への発注費がかかりません。

ブランドごとの違い、支払い方法、保険やローンなど、お金のかかる歯科矯正だからこそ知っておきたい費用のことは「マウスピース矯正の費用はどれくらい?相場や内訳を解説」にまとめています。

マウスピース矯正を検討している方は、目を通しておきましょう。

まとめ

マウスピース矯正のステップは3段階。

「矯正前」「矯正中」「矯正後」です。

「矯正前」の段階は、カウンセリングから始まります。

その後検査をし、患者さんの希望を取り入れながら、歯科医師は治療計画を設計します。

治療計画に納得したら、契約を交わし、マウスピースを発注。

「矯正中」は、マウスピースの装着と定期通院を欠かさないようにしましょう。

「矯正後」の段階では、動かし終えた歯を新しい位置に固定する「保定期間」に入ります。

今回の記事で、マウスピース矯正の大まかな流れは、ご理解いただけたのではないでしょうか。

歯科医院によっては、無料カウンセリングを実施しています。

マウスピース矯正を検討している方はまず、歯科医院でカウンセリングを受けて、自分の矯正がどのように進むのかを聞いてみましょう。

当サイトではマウスピース矯正が受けられるおすすめの医院を紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。

この記事の監修者

経歴

2008年 東京歯科大学歯学部卒業 2009年 東京歯科大学歯学部附属病院臨床研修修了 2012年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野矯正歯科専攻生課程修了 2012年- 千葉県内矯正歯科医院勤務、医療法人社団佑健会勤務

コメント

日本矯正歯科学会認定医/インビザライン認定ドクター 柏KT矯正歯科 院長。東京歯科大学卒。同大学院の矯正歯科専攻生課程修了。認定医やインビザライン認定ドクターの知識や数千ある治療経験から患者様の最適な治療を提案し、理想のゴールへ一歩でも近づけるような治療を心がけています。

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