歯列矯正でブサイクになった?その原因と予防策について徹底解説
2022/12/14
2024/7/17
#矯正歯科
「歯列矯正で、鼻の下が伸びてブサイクになった」
「歯列矯正で、口元が下がりすぎて可愛くなくなった」
「歯列矯正で、ほうれい線ができた」
歯列矯正は歯並びを改善し、Eラインも改善できる可能性がある審美的治療です。
矯正に対する考え方が、日本でも変わりつつあり、芸能人のなかでも歯並びに対する意識が変わり矯正治療中であることを公言するような方も増えてきました。
しかし、インターネットで検索をしていると「歯列矯正をしたことでブサイクになった」という情報も目につきます。
なぜ、ブサイクになったという情報が出回るのか。
本記事では、その要因となる項目と、それらに対する予防策や考え方を紹介します。
- 2.1矯正後の出っ歯を防ぐ
- 2.2矯正後のしゃくれを防ぐ
- 2.3ほうれい線を防ぐ
- 2.4バッカルコリドーを防ぐ
- 2.5頬こけを防ぐ
- 2.6面長になるのを防ぐ
- 2.7人中が伸びるのを防ぐ
- 2.8赤唇が薄くなるのを防ぐ
歯列矯正でブサイクになった?実際の事例を紹介
歯列矯正でブサイクになったという方は、具体的に顔のどの部分がどのように変化したのか。
また、なぜその顔の部位が変化してしまったのか。
これらの具体的な事例を紹介していきます。
出っ歯になった
結論からいえば、歯列矯正で出っ歯になることはあります。
なぜ出っ歯になることがあるかと言いますと、診断ミス・治療計画のミスなどによって出っ歯になることがあるからです。
一番多い事例は抜歯矯正で矯正治療をするべき症例にも関わらず、無理に非抜歯矯正で治療してしまう事例です。
例えば、歯並びがでこぼこになってしまう叢生。
その原因は、歯の総数に対して歯が適切に生えるスペースがないことです。
歯のスペースを作るためには、小臼歯抜歯、歯を後ろに下げる遠心移動、歯を薄く削るIPR、歯並びを横に広げる側方拡大、歯並びを前に広げる前方拡大などがとられます。
そのなかでも前方拡大は特殊な症例のときにしか利用しないものです。
しかし、無理な非抜歯矯正をした際に前方拡大をすることで歯並び全体が前に突き出してしまうことで、出っ歯になってしまいます。
しゃくれた
しゃくれというのは、受け口や下顎前突(かがくぜんとつ)といわれます。
歯列矯正で、しゃくれてしまう事例も残念ながらあります。
しゃくれてしまうのは、治療計画のミスです。
考えられる事例としては2種類あり、出っ歯(上顎前突)の場合、上下顎前突の治療の場合です。
出っ歯(上顎前突)、上下顎前突の場合も「上の前歯をひっこめる」治療をおこないます。
例えば、小臼歯抜歯と言って犬歯の奥の前から4番目の歯を抜いて、歯を動かす方法です。
他にも、顎の骨を切除して顎そのものをひっこめるようにする場合もあります。
その際に「上の歯を奥にひっこめすぎる」と、下の歯や顎が相対的に上の歯や顎よりも前に出てしまうのです。
そうするといわゆる「しゃくれ状態」になってしまいます。
ほうれい線ができた
歯列矯正が直接的な原因でほうれい線ができることはありません。
ほうれい線とは、小鼻から唇の横を通ってあごにかけてできるシワのことです。
加齢によって濃くなりやすく、ほうれい線がないもしくは薄いことが好まれる傾向にあります。
なぜ歯列矯正でほうれい線ができると考えられるのでしょうか。
それは「出っ歯や上下顎前突などで口元が出ている人は、口元が出ることでほうれい線のシワが伸び、矯正治療によって口元が引っ込むことで、ほうれい線ができたように見えるから」と考えられています。
バッカルコリドーができた
バッカルコリドーとは「口の中の前歯と広告の間の黒く見える隙間」のことです。
欧米人の歯並びは、歯列弓(しれつきゅう)と呼ばれる歯並びの曲線の横幅が広く、バッカルコリドーができないケースも多くあります。
一方、日本人は顎が小さく歯列弓も狭いため、バッカルコリドーになりやすいのです。
歯列矯正によってバッカルコリドーになる事例はあります。
特に抜歯矯正をした場合、歯列弓が狭くなることもあります。
逆に非抜歯矯正の場合は、歯列弓が広くなることも多いです。
歯列矯正が狭くなることで、バッカルコリドーができる仕組みです。
頬がこけた
歯列矯正が直接的な原因で、頬がこけることはないと考えて良いでしょう。
頬がこける原因は、表情筋が衰えること、痩せてしまうことです。
そして歯列矯正で、表情筋が衰えてしまうことはあります。
矯正装置をつけることで、固い食べ物、噛み応えのある食べ物を食べられなくなったり、矯正装置が気になって大きな口を開けることがしづらくなったりします。
その結果、表情筋が衰えることもあるでしょう。
また矯正装置によって食事が制限されることで体重が減り、頬がこけてしまうといったことも考えられるでしょう。
面長になった
歯列矯正をすることで、顔が面長になることはあるかもしれません。
面長に見える場合は、いくつかのパターンが考えられます。
頬がこけた
歯列矯正の装置や、矯正中の食事の制限によって体重が落ちたり、表情筋が衰えることで頬がこけて見えたり、実際に頬がこけたりする人がいるようです。
顔の横幅にも影響する頬の部分がこけてしまうことで、面長になったように見えるようです。
人中が伸びたように見えた
抜歯矯正で治療する必要のある症例で、無理に非抜歯で矯正した結果、歯並び全体が前に出てしまった場合に起こりえます。
出っ歯や口ゴボは、無理に唇を閉じようとする際に、人中が伸びてしまいます。
矯正治療の治療計画によっては人中が伸びて見え、面長に見えてしまう事例です。
顔のエラが解消された
顔のエラは、噛みしめるときに使う咬筋(こうきん)の膨らみによって作られます。
咬筋が発達するとエラの部分が目立ち、顔が角ばって見えるのです。
しかし、矯正治療によって固い食事がとれなくなったり、噛み合わせが改善することで食いしばりが解消されたりして、咬筋が必要以上に発達しなくなる場合があります。
結果、横に目立つエラの部分が解消され、すっきりとした印象になるとともに、面長な印象を与える場合があるといえるでしょう。
人中が伸びた
人中とは鼻の中心から唇にかけて伸びるシワのことです。
人中が短いと若い印象を与え、人中が長いと年齢を重ねた印象になるといわれています。
歯列矯正の結果、人中が伸びるような印象になる可能性はあります。
どのような場合になるか具体例としては、非抜歯矯正によって歯のスペースを前方に求めた結果、口元が前に出るような場合です。
いわゆる出っ歯や口ゴボの状態で唇を閉じようとした際に、人中部分が伸びてしまうのです。
赤唇が薄くなった
歯列矯正で赤唇が薄くなることはあります。
しかし、これは審美的に改善されていると考えたほうが良いと思われます。
なぜかというとこの「赤唇が薄くなった」というのは、出っ歯や口ゴボなどでたらこ唇になった状態から、正常な唇に戻ることを指すからです。
そのため元々厚い唇が薄くなってしまうことはありません。
ブラックトライアングルができた
ブラックトライアングルとは、歯肉が退縮することで、歯肉と歯の間にできる逆三角形の隙間のことです。
通常、若くて健康な方は、歯と歯の間にはピンク色の歯肉が詰まっています。
しかし歯列矯正で歯を移動した結果、ブラックトライアングルができ、年齢を重ねた口元のような印象を作ってしまうことがあるのです。
歯列矯正でブサイクにならないための予防策
よりきれいに、より美しくなろうと思って始めた矯正治療。
その結果、ブサイクになったと感じることがないように、しっかりと予防することが大切です。
パターン別に、どのように予防すれば良いのか解説します。
矯正後の出っ歯を防ぐ
出っ歯になることを防ぐには、歯科医師と自分自身の矯正治療のゴールを詳細に共有することがもっとも大切です。
例えば歯科医師によっては「健康を損なう可能性のある歯並びを治す」ことをゴールにするケースもあります。
どのような歯並びが理想なのか、現状や予算から現実的に実現できる歯並びはどのようなものなのかを、しっかりと考え抜くことが大切です。
充分なスペースがないのにも関わらず、非抜歯矯正を最優先にした場合、他の何かを犠牲にする可能性があることを理解しましょう。
矯正後のしゃくれを防ぐ
矯正をする際には治療計画の精度が高い、歯科医師を探しましょう。
歯科医師も一人の人間なので、得意不得意があります。
外科的な手術が必要な場合は、なおさら高度な専門性が求められます。
そのうえで、その歯科医師と理想の矯正のゴールをすり合わせていくことが大切です。
ほうれい線を防ぐ
非常にまれなケースですが、出っ歯の治療をして口元が下がる場合、ほうれい線に注意が必要です。
ほうれい線が出てきてしまうのを防ぐためには、表情筋が衰えないよう意識的に動かすことが大切です。
舌回しトレーニング
口周りの筋肉を鍛え、滑舌の改善や、二重あごの防止にも役立ちます。
- 口を閉じる
- 舌を上の左奥歯と頬の間にセット
- 舌に力を入れ歯に舌を押し付けながら30秒かけて右奥のほうまでスライドさせる
- 右奥まで到達したら逆に左奥のほうまで30秒かけて移動させる
- 下側の歯でも同様に往復
- それぞれ二往復する
慣れないうちはかなり疲れる感覚があります。
しかし、毎日やることでかなり慣れてくるでしょう。
あいうえお体操
あいうえおの母音を、大きな口で大げさに発声する体操です。
- 「あ」:口全体にわたって大きく開いて5秒間「あー」と発声する
- 「い」:口を横に大きく広げて5秒間「いー」と発声する
- 「う」:口を大きく突き出し5秒間「うー」と発声する
- 「え」:口角を上げて5秒間「えー」と発声する
- 「お」:口を縦に大きく開き「おー」と発声する
表情豊かに発声をしながら、表情筋を鍛えます。
バッカルコリドーを防ぐ
バッカルコリドーを作りたくないのであれば、歯科医師にその旨を伝えることが大切です。
抜歯矯正をする場合、歯列弓が狭くなるケースも多いです。
歯科医師が歯のスペースを広げるための他の選択肢を取るべきかどうかを検討できるように、事前の要望として伝えておくと良いでしょう。
またバッカルコリドーは、価値観によって美の意識が異なるように、一概に悪いとは言い難いものです。
自分自身が理想とする顔立ちというものについても、あらためて考えてみると良いでしょう。
頬こけを防ぐ
頬こけを防ぐためには、表情筋を鍛えること、矯正治療中にも栄養があるものをしっかり摂って痩せすぎないようにすることが重要です。
表情筋を鍛えるトレーニングは「ほうれい線を防ぐ」に記載があります。
表情筋を鍛えることは、頬こけを防ぐ以外にもほうれい線を防いだり、たるみを解消するリフトアップ効果があったりと、さまざまなメリットがあります。
面長になるのを防ぐ
面長になることを防ぐには、頬こけを防ぐ、人中が伸びることを防ぐ、エラの解消を防ぐといったアプローチになります。
頬こけを防ぐことや、人中が伸びることを防ぐことは審美的に改善が期待できます。
しかし、顔のエラが解消されることついては、特段防ぐ必要はないでしょう。
頬こけを防ぐ、人中が伸びることを防ぐ方法は「頬がこけた」「人中が伸びるのを防ぐ」の項目で詳しく説明していますので、それぞれご確認ください。
人中が伸びるのを防ぐ
人中が伸びてしまうことを防ぐには、歯列矯正の結果、前方拡大をしないように歯科医師と事前にコミュニケーションをとることが大切です。
歯並びだけではなく、顔全体の審美性についても重要視していることを歯科医師に伝えたうえで、治療計画を立ててもらいましょう。
赤唇が薄くなるのを防ぐ
歯列矯正で赤唇が薄くなることは、出っ歯や口ゴボなどによるたらこ唇を解消することと同義ですので、防ぐ必要はありません。
ブラックトライアングルを防ぐ
ブラックトライアングルを防ぐために患者ができることは非常に限られています。
ただし、不要な歯肉退縮を防ぐことは可能です。
まず歯肉に不要なダメージを与えないことです。
歯肉は、歯ブラシや歯間ブラシ、フロスで歯肉に強すぎる刺激を与えてしまうと、ダメージを負ってしまい、歯肉退縮をしてしまう可能性があります。
歯肉退縮は、ブラックトライアングルの原因になるのはもちろん、食べかすが詰まりやすくなり虫歯や歯周病の原因にもなります。
不要な歯肉退縮を防ぐように、日々のケアにも注意を払いましょう。
歯列矯正中や歯列矯正後にブサイクになったと感じた場合の対策
歯列矯正中や、歯列矯正後に「ブサイクになった」と感じたときには、対処法は2つあります。
1つは「通院している歯科医師に相談する」です。
もう1つは「セカンドオピニオンで別の歯科医師に相談する」です。
どちらの選択にするかは、現在通院している歯科医師との信頼関係が構築出来ているかどうかによって変わるでしょう。
もし歯科医師との信頼関係が構築出来ていないと感じるようであれば、矯正を専門にしている歯科医師に相談し、客観的に自身の治療について意見をもらうことも重要です。
また自分自身で勝手に判断して非科学的な行動に走ることをやってはいけません。
矯正中の歯は特に繊細な状態ですので、しっかりと歯科医師の意見を聞いて改善に向けて動きましょう。
歯列矯正でブサイクにならないためのまとめ
今回は、歯列矯正でブサイクになったという事例についてまとめました。
またブサイクにならないための予防の方法について、矯正中にそのように感じたときの対処法も併せて同様にまとめました。
正直、矯正治療でブサイクになったという事例はかなり限定的でしょう。
しかし、歯科医師とのコミュニケーション不足によって、そのように感じてしまった人がいることも事実。
大きなお金と時間をかける矯正治療だからこそ、最高の結果が出るように知識をつけて準備することが大切といえるでしょう。