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インビザラインで矯正できない症例とは?装置の種類別に紹介

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2023/2/8

最終更新日のアイコン

2023/2/15

#インビザライン

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「最近流行りのインビザラインで歯並びを整えたいけど、矯正できない症例は?」

「矯正装置が目立ちにくい方法でキレイな歯並びを手に入れたいけど、私はインビザラインで矯正できる?」

装置が目立ちにくい矯正治療の方法として人気なマウスピース矯正。

そのなかでも特に過去の症例数・実績が多く、人気のあるブランドがインビザラインです。

しかし、過去治療してきた症例数が多くても、なかにはインビザラインで矯正できない症例があることをご存知でしょうか。

この記事では、インビザラインで矯正できない症例について、インビザラインの種類ごとに詳しく解説しております。

インビザラインで矯正できない場合の対処法も記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。




インビザラインで矯正できない症例


インビザラインを用いて矯正治療をしたくても、なかには矯正できない症例が存在することをご存知でしょうか。

実際に日本臨床矯正歯科医会も、インビザラインをはじめとしたマウスピース矯正の対応症例に関して下記のような見解を発表しています。

(1)マウスピース型矯正装置には推奨されない不正咬合があります。
マウスピース型矯正装置は1990年代に開発され、その安全性と有効性は科学的に高いレベルで明らかにされてはいません。また、歯の移動にも限界があるため適応症を見極めることのできる矯正歯科医による治療が必要です。
引用:カスタムメイドのアライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)に対する本会の見解


インビザラインを用いた矯正治療のなかでも、みなさんが一般的に想像する矯正方法をインビザライン・コンプリヘンシブパッケージ、またはインビザラインフルといいます。

インビザライン・コンプリヘンシブパッケージはマウスピース矯正のなかでも特に多くの症例数があります。

しかし、下記の症例はインビザライン・コンプリヘンシブパッケージで治療が困難な可能性が高いです。


・重度の歯周病

・重度の出っ歯・受け口・叢生

・多くのインプラントが入っている

・抜歯が必要となる本数が多い

・顎の骨格異常によって歯並びが悪い


それぞれ詳しく解説します。

重度の歯周病


重度の歯周病に罹患している場合、インビザライン・コンプリヘンシブパッケージだけでなく、どのような矯正治療法であっても適応が困難になります。

理由としては、歯周病が重度まで進行してしまうと、歯を固定している歯ぐきや骨が溶かされ、歯が抜けやすい状態になってしまうからです。

矯正治療では歯に力をかけて動かすので、重度の歯周病に罹患している状態だと歯を失ってしまうリスクがあります。

重度の歯周病に罹患している場合は、歯周病の治療をおこなってから矯正治療をしましょう。

重度の出っ歯・受け口・叢生


インビザラインは「歯を大きく平行移動させること」が苦手です。

そのため、歯を大きく動かす必要がある不正咬合の治療には適さない場合があります。

例えば、重度の出っ歯や受け口の治療では、奥歯を起点として歯を大きく後ろに平行移動させなければなりません。

また、重度の叢生に関しても、歯を前後に大きく平行移動させる必要があります。

歯を大きく平行移動させる必要がある重度の出っ歯や受け口、叢生といった歯並びは、インビザライン・コンプリヘンシブパッケージだけでは治療が困難となる可能性が高いでしょう。

多くのインプラントが入っている


歯科治療における「インプラント」とは、歯を失った箇所の歯根部分に土台(インプラント体)を埋め込み、その上に人工歯を被せたものです。

インプラント治療をおこなうと、歯の根っこと歯を支えている骨の間にある歯根膜が失われます。

矯正治療では歯根膜の収縮を利用して歯を動かすため、多くインプラントが入っていると矯正で動かせないのです。

抜歯が必要となる本数が多い


矯正治療で歯並びを整えるためには、歯をキレイに並べるためのスペースが必要不可欠です。

しかし、最近では硬い食べ物よりもやわらかい食べ物が好まれるので、成長する過程で歯をキレイに並べるスペースが不足してしまうことも少なくありません。

歯をキレイに並べるスペースが不足している場合、抜歯によってスペース確保が必要になります。

インビザラインは歯を前後に動かすことは得意ですが、歯を平行移動させることは苦手です。

抜歯をすると歯を平行移動させる距離が長くなるため、抜歯が必要となる本数が多いと、インビザライン・コンプリヘンシブパッケージだけでは治療できない可能性があります。

顎の骨格異常によって歯並びが悪い


歯並びが悪い原因は人それぞれ異なります。

そのなかには顎の骨格異常が原因で歯並びが悪い人も存在します。

顎の骨格異常とは、上顎や下顎が大きく前に突き出していたり、逆に上顎や下顎が大きく引っ込んでいたりする状態のことです。

このような顎の骨格異常が原因の不正咬合は、インビザライン・コンプリヘンシブパッケージだけでは治療できない可能性があります。

インビザラインの種類


一言でインビザラインといっても、実はさまざまな種類があることをご存知でしょうか。

インビザラインの種類は下記のとおりです。


・インビザライン・コンプリヘンシブパッケージ(インビザラインフル)

・インビザライン・ライトパッケージ

・インビザラインGO

・インビザライン・エクスプレスパッケージ

・インビザライン・ファースト


これらは名称だけでなく、矯正にかかる期間や費用、治療の特徴などもそれぞれ異なります。

どのような違いがあるのか詳しく解説します。

インビザライン・コンプリヘンシブパッケージ(インビザラインフル)


インビザライン・コンプリヘンシブパッケージとは、最も一般的なインビザライン矯正の方法であり、インビザラインフルとも呼ばれます。

おそらく、みなさんが「インビザラインによる治療」と聞いて思い浮かべるのは、このインビザライン・コンプリヘンシブパッケージでしょう。

インビザライン・コンプリヘンシブパッケージは、前歯から奥歯まですべての歯を移動できます。

奥歯を移動させることができるので、噛み合わせや歯の位置関係の調整も可能です。

また、追加アライナーは5年以内であれば何回でも注文できるので、細かい治療まで思う存分おこなえます。

インビザライン・ライトパッケージ


インビザライン・ライトパッケージとは、ライト(軽い)という名前からもわかるように、軽度な不正咬合の治療に用いられるインビザライン矯正の方法です。

インビザライン・コンプリヘンシブパッケージと同様、前歯から奥歯まですべての歯を移動できます。

しかし、使用できるアライナー数が14枚までと限られており、アライナーの追加も2回までです。

また、使用できるアライナーが14枚までだからといって、無理やり14枚までで治療計画を立てることはできません。

さらに、インビザライン・ライトパッケージには治療完了までの期間が2年以内と決められています。

仮に14枚までのアライナーで治療が困難な場合、あるいは治療が2年以上かかる場合は、コンプリヘンシブパッケージへの変更が必要です。

インビザラインGO


インビザラインGOとは、インビザラインを用いて前歯から数えて5番目の歯までを動かす部分矯正の方法です。

例えば、歯並び全体ではなく「前歯の隙間だけを埋めたい」「ねじれている歯だけを治したい」など、部分的な治療に効果を発揮します。

一方、奥歯は移動できないため、噛み合わせの改善は見込めません。

インビザラインGOはあくまで審美的な改善を目的とした治療であることを理解して、噛み合わせの改善も必要な場合は、コンプリヘンシブパッケージやライトパッケージを検討しましょう。

また、インビザラインGOは使用できるアライナーの数が片顎につき20枚までと限られており、アライナーの追加も1回までです。

仮にアライナーの数が20枚以上必要な場合は、コンプリヘンシブパッケージへの変更が必要になります。

インビザライン・エクスプレスパッケージ


インビザライン・エクスプレスパッケージとは、インビザラインを用いる矯正治療のなかで最も手軽な治療方法のことです。

かなり対応できる症例が限られるうえに、使用できるアライナーの数も7枚までであり、アライナーの追加も1回までしかできません。

適応症例としては、矯正後の後戻りを治療したり、1・2本程度の歯を動かしたりする場合に用いられるケースが多いです。

エクスプレスパッケージはインビザラインGOと同様に、奥歯の移動はできません。

対象となる症例はかなり限られますが「前歯だけを矯正したい」「歯を少しだけ動かしたい」という方にとっては、選択肢の一つとなるでしょう。

インビザライン・ファースト


インビザライン・ファーストとは、歯の生え変わり期(混合歯列期)のお子様を対象としたインビザライン矯正の方法です。

小児矯正は永久歯が正常に生え揃うための準備をする「1期治療」と、永久歯が生え揃ってから歯を移動させる「2期治療」に分けられ、インビザ
ライン・ファーストは1期治療にあたります。

インビザライン・ファーストをすることで、2期治療が必要になっても短期間でより簡単に治療できるだけでなく、抜歯のリスク軽減にも繋がるのです。

乳歯と永久歯の生え変わりの状態によりますが、インビザライン・ファーストの大まかな対象年齢は6歳〜12歳までとなります。



インビザラインの種類 治療期間の目安 費用相場
インビザライン・コンプリヘンシブパッケージ 2年半~3年程度 約60万円〜100万円
インビザライン・ライトパッケージ 3ヶ月~6ヶ月程度 約30万円~60万円
インビザラインGO 5ヶ月〜1年程度 約30万円~60万円
インビザライン・エクスプレスパッケージ 2ヶ月~4か月程度 約20万円〜40万円
インビザライン・ファースト 3ヶ月~1年程度 約40万円〜80万円


インビザラインの種類による矯正できない症例


インビザラインにはさまざまな種類があるため、矯正できない症例もそれぞれ異なるのです。

下記で紹介する(1)〜(3)に関しては、(1)の症例は(2)・(3)にも該当し、(2)の症例は(3)にも該当します。

(1)インビザライン・ライトパッケージで矯正できない症例


インビザライン・ライトパッケージは、コンプリヘンシブパッケージよりも矯正できる症例が限られます。

そのため、ライトパッケージはコンプリヘンシブパッケージで矯正できない症例に加えて、矯正できない症例があるのです。

歯並び全体を移動させる必要がある症例


インビザライン・ライトパッケージは、治療期間が最長でも2年まで、使用できるアライナーの数が最大で14枚までと、治療に制限があります。

歯並び全体を移動させる必要がある場合、治療期間は平均でも2年半〜3年程度、必要になるアライナーも14枚以上となるケースが多いです。

特に抜歯したスペースを利用して八重歯を歯列のなかに移動させたり、出っ歯を引っ込めたりする矯正治療は、歯並び全体を移動させなければならず、長い治療期間と多くのアライナーが必要になります。

治療期間が最長でも2年まで、使用できる荒いなーの数が最大で14枚までという制限がある以上、その制限を超えた治療はできません。

歯並び全体を移動させる必要がある症例は、コンプリヘンシブパッケージでの治療を検討するといいでしょう。

(2)インビザラインGOで矯正できない症例


インビザラインGOは、ライトパッケージよりも矯正できる症例が限られます。

そのため、コンプリヘンシブパッケージやライトパッケージで矯正できない症例に加えて、下記の症例も矯正が困難です。

奥歯の移動が必要な歯並び


インビザラインGOは歯並びが気になる部分の審美的な改善を目的とします。

あくまでも審美的な改善を目的としているため、奥歯を移動させることはできません。

そのため、奥歯の移動が必要な出っ歯・受け口の矯正や、噛み合わせの改善を目的とした矯正はできない可能性が高いです。

それらの矯正をしたい場合は、コンプリヘンシブパッケージやライトパッケージの検討が必要になります。

(3)インビザライン・エクスプレスパッケージで矯正できない症例


インビザライン・エクスプレスパッケージは、インビザラインGOよりもさらに矯正できる症例が限られます。

そのため、コンプリヘンシブパッケージやライトパッケージ、インビザラインGOで矯正できない症例に加えて、下記の症例も治療が困難です。

2本以上歯の移動が必要な歯並び


インビザライン・エクスプレスパッケージは、歯を1〜2本移動させるだけで改善できる軽度な叢生やすきっ歯が治療の対象となります。

あくまでそれらの症例を審美的に改善することが目的のため、噛み合わせの改善は見込めません。

また、他のインビザラインと比較して特に矯正できる症例が限られる原因として、使用できるアライナーの数が挙げられるでしょう。

インビザライン・エクスプレスパッケージは、合計で7枚しかアライナーを使用できず、追加のアライナーも一度までです。

2本以上歯の移動が必要な歯並びを矯正するためには、7枚以上のアライナーが必要になるケースが多いため、インビザライン・エクスプレスパッケージでは治療が困難になります。

(4)インビザライン・ファーストできない症例


インビザライン・ファーストとは、インビザラインを用いた小児矯正のことです。

そのため、コンプリヘンシブパッケージで矯正できない症例に加えて、下記の症例も矯正が困難です。

年齢が13歳以上の方


インビザライン・ファーストはインビザラインを用いた小児矯正のことなので、基本的に大人は対象となりません。

乳歯と永久歯の生え変わりの状態によって対象になるかが決まるので、明確な基準はありませんが、一般的には永久歯が生え始めて生えそろうまでの6歳~12歳が対象となります。

年齢が13歳以上である場合は、コンプリヘンシブパッケージやライトパッケージなど、成人矯正を対象としている方法を検討するといいでしょう。

また、12歳以下であっても下記の条件を満たさないとインビザライン・ファーストは適応できないと、インビザラインの公式ページで言及されています。

インビザライン・ファーストを使用するには、
下記①~③すべての条件が必要です。

❶ 第一大臼歯が萌出している
❷ 切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している
❸ 少なくとも3/4顎に乳歯(C、D、E)または未萌出の永久歯 (3、4、5)が2歯以上ある
引用:歯科医療関係者向け|インビザライン・ファースト-成長過程にある患者様の矯正治療【インビザライン・システム】


インビザライン・ファーストは6歳~12歳程度を目安に、上記の条件を踏まえて検討する必要があります。

インビザラインで矯正できない場合の対処法


今回紹介した症例に該当する場合、インビザラインで矯正できないリスクがあります。

しかし、歯並びが悪いままでは困りますよね。

インビザラインで矯正できない場合、下記の方法であれば歯並びをキレイに整えられるでしょう。


・ワイヤー矯正

・ワイヤー矯正とインビザラインの併用

・外科矯正(サージェリーファースト)


それぞれ詳しく解説します。

ワイヤー矯正


ワイヤー矯正とは、歯にブラケットと呼ばれる矯正装置を取り付け、そこにワイヤーを通すことで歯並びや噛み合わせを整える矯正治療の方法です。

おそらくみなさんが「矯正治療」と聞いたとき、一番初めに思い浮かべるのはこのワイヤー矯正でしょう。

ワイヤー矯正は矯正治療のなかで最も一般的な方法であり、対応している歯科医院数も、過去の症例数もインビザライン矯正よりも多いです。

そのため、インビザラインで矯正が困難な症例であっても、ワイヤー矯正であれば治療できるケースも少なくありません。

しかし、インビザライン矯正と比較して、ワイヤー矯正は治療中に装置が目立つことに抵抗感がある方もいらっしゃるでしょう。

最近では、白や透明といった目立ちにくいブラケットとワイヤーを用いた方法や、歯の裏側に矯正装置を取り付けることで治療中の見た目が気にならない裏側矯正も存在します。

インビザラインでは矯正が困難な症例を目立たない矯正で治療したい場合は、それらも選択肢の一つとなるでしょう。

ワイヤー矯正とインビザラインの併用


インビザラインで矯正が困難な症例の場合、ワイヤー矯正とインビザラインの併用も選択肢の一つとなるでしょう。

インビザラインで矯正ができる状態までワイヤー矯正をおこない、その後インビザラインで矯正をすることで、ワイヤー矯正の期間を短縮できます。

ワイヤー矯正の期間中も、白や透明といった目立ちにくいブラケットとワイヤーを用いた方法や、裏側矯正を駆使することで、矯正装置が目立つストレスを軽減できるでしょう。

外科矯正(サージェリーファースト)


インビザラインで矯正が困難な症例の場合、外科手術によって外見や骨格的なズレを改善し、その後矯正治療をおこなう外科矯正も選択肢の一つとなるでしょう。

インビザラインだけでは、顎の骨格異常によって歯並びが悪い場合の治療は困難です。

しかし、外科手術によって先に顎の骨格異常を改善し、その後矯正治療によって歯並びを整える流れであれば、顎の骨格異常によって歯並びが悪い場合でも治療できる可能性が高いです。

外科手術の後におこなう矯正治療では、ワイヤー矯正だけでなくインビザラインを用いることもできます。

インビザラインで矯正が困難な症例の場合は、外科手術をしてからインビザラインで矯正をする外科矯正も検討するといいでしょう。

まとめ


インビザラインで矯正したくても、なかには矯正ができない症例も存在します。

また、一言でインビザラインといっても種類はさまざまであり、それぞれ対応できる症例も異なるのです。

インビザラインで矯正できない場合は「ワイヤー矯正」「ワイヤー矯正とインビザラインの併用」「外科矯正」が対処法として挙げられます。

矯正装置が目立つのに抵抗がある方であっても、白や透明といった目立ちにくい装置を用いたワイヤー矯正や裏側矯正、ワイヤー矯正とインビザラインを併用することで、矯正装置が目立つストレスを軽減できるでしょう。

さらに、インビザラインだけでは治療が困難な症例であっても、外科手術と組み合わせることで治療できる可能性も。

当サイトでは、インビザラインを用いた矯正が受けられるおすすめの歯科医院を紹介しています。

インビザライン矯正を検討しているという方は、ぜひご覧になってみてください。

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